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はじめに
  記事の引っ越しがまだ完全に終わっていません。
  理由は、その引っ越し作業に伴って、過去記事をつい読んでしまう。
  そして読めば読むほど書き直したい箇所がわんさか…
  結局、全ての記事を読み返し、再読もしつつ引っ越し作業をしています。
  その作業を経てアップできたものは 更新記事一覧から
ほかに、
記事ガイド・プロフィールなど
作家別目次
などの目次を置いています。
更新履歴 

写真で見る幕末・明治

写真で見る幕末・明治
写真で見る幕末・明治小沢 健志

世界文化社 2000-03
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内容
世紀末の今、130年前の日本を古写真で見つめ直す、画期的な出版!古写真の世界的コレクターワーズウィック氏秘蔵のコレクションを厳選して収録。最新の研究成果をもとに、未発表写真を多数含む460点の貴重な写真で再現する幕末・明治の世界。 (「BOOK」データベースより)




ボリュームのある写真集です。
風景より人物が多かったです。
ほとんどが市井の人、ただし芸妓や役者が中心でしょう。
相撲取りや武家の方もいました。
良く知られた人物では、中島 三郎助のあの写真くらいでしょうか。

当時の人の体つきや、装いをじっくり見る事が出来ますが、幕末の動乱や維新に揺れる雰囲気、明治の文明が開花していく様は、ほとんど感じる事が出来ませんでした。

そして不思議なのは、私に取っては直接知らない曾祖父や曾祖母の時代なのに、なんだか懐かしい気持ちになるのは、やっぱり日本人としての集合的無意識でも働いているのでしょうか。こうやって改めて当時の人の写真を見ると、ますます、130年前ってそう遠くないなという思いが強くなりました。


歴史読本 2008年 3月号 幕末人の肖像

歴史読本 2008年 03月号 [雑誌]
歴史読本 2008年 03月号 [雑誌]
新人物往来社 2008-01-24
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ご覧の通り、今回の特集は幕末の人々の古写真。

総勢231名の肖像を大名家、倒幕派(薩摩藩、長州藩、土佐藩、その他諸藩)、徳川将軍家、幕閣、幕臣、会津藩士、新選組、その他佐幕派諸藩、天皇・公家、文人・学者、幕末女性、剣客・侠客、外国人、幕末以降明治新政府で活躍した政治家・軍人というカテゴリーに分けて紹介しています。

中身はタレント名鑑のような構成。
写真がメインの特集のため、人物の来歴は少ないものの、生没年や出身地などの定番データに加え、実父、実母、配偶者、菩提寺や墓碑なども分かる範囲で記載されていました。

蜂須賀茂韶、西郷隆盛(肖像画)、桂小五郎、中岡慎太郎、徳川慶勝、勝海舟、西郷頼母、は見開きの巻頭カラー。

坂本龍馬、土方歳三、高杉晋作は、「肖像写真を解読する」という題目で、5〜6ページのカラー特集。各人が被写体となっている数点の写真を、撮影時期や修正などについての考察でした。

大半が、見覚えのあるものでしたが、初見の人物も多かったので、他の読み物もあることを考えれば、1000円は惜しくない値段だと思いました。

また、写真ではその人となりまでは分かりませんが、来歴を読めば、なるほどそう見える!という人物と、まったくそれが噛み合ない人物がいて、なかなか面白かったです。

また、幕末期〜明治初期に撮影したものが多かったためか、かっちり羽織袴かと思いきや、襦袢でなく丸首のシャツが覗いてたり、別の写真集に載っている市井の人々と比べると着物が上等だったり…いろいろと楽しめる特集でした。

おまけ
歴史読本手帳2008がついていました。
マンスリースケジュールに歴史上の人物の誕生日が刷ってあるもの。
また、歴史年表、歴史読本の過去の特集一覧、四十七士名鑑、新選組隊士の墓所一覧などあり。

信長の傭兵

信長の傭兵 (角川文庫)
信長の傭兵 (角川文庫)津本 陽

角川書店 2006-09-22
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信長はほとんど登場しません。請われれば戦場でクライアント大満足の仕事を果たし、仕事が終われば女を抱いて田舎でのんびり。「戦国版・できる男」津田監物は、ほっこり和歌山訛りでした。(Kerog*)



種子島から鉄砲を持ち帰った津田監物は、鉄砲傭兵集団を組織した。監物率いる紀州・根来衆は諸国大名から重用され、その名は天下に轟く。永禄5年、新興勢力の最右翼である尾張の織田信長が根来衆に加勢を求めた。以後、監物は信長とともに天下布武の野望に向け、しかしあくまで傭兵として戦場を駆け抜ける。遂に信長最大の敵・本願寺との戦いに挑むが…。戦国の地図を塗り変えた、その波瀾に満ちた生涯。 内容(「BOOK」データベースより)



和歌山県岩出市の根来寺を拠点とした僧衆集団・根来衆。彼らは傭兵なので、金で諸国の大名に雇われては、鉄砲、大筒を担いで戦場に趣く。その根来衆に種子島から火縄銃を持ち帰ったのが津田監物という男。

この作品は、同著の「鉄砲無頼伝」続編ということで単行本のタイトルは「続・鉄砲無頼記」だったそうです。

前作では、兄の命を受けた津田監物が、種子島に赴いて火縄銃を持ち帰り、最強の鉄砲集団を作り上げるまでを描いていましたが、今作の監物は50歳も間近。前作でモノにした女海賊「おきた」とのんびり暮らしていましたが、永禄三年に活発化した畿内の戦に雇われ、再び戦場と根来を行ったり来たりの生活が始まります。その同じ頃に桶狭間で今川軍を破った織田信長。その信長から、永禄五年に大量の根来衆を雇い入れたいと申し出があり、監物達は傭兵として信長軍に参加する事になります。

というわけで、文庫化に当たり、「信長の傭兵」と改題した理由も分からなくはないですが、信長はほとんど登場せず。信長に雇われて、美濃攻略から第二次木津川口海戦までが描かれているのですが、それなら彼の目を通した戦が描かれているかというとそうでもなく、監物がおきたに対して信長軍の戦況を説明くさい台詞で語って聞かせるか、地の文で触れるにとどまり、ちょっと物足りない。あくまでも主人公は監物なので、戦国歴史小説というよりは、ひたすら彼の晩年を追いかけた作品という印象でした。

その津田監物ですが、とても不思議な魅力を感じます。
作中での彼は、根来衆鉄砲集団頭領として戦に赴けば、射撃の腕もさることながら、戦況を読み、退き時を誤らず、素晴らしい働きをするのですが、その合間にはおきたを抱き、朝寝に昼寝、魚釣りとのんびり田舎暮らし。そのオンとオフを巧みに使い分ける様がまるで英国人のようなライフスタイルで、時間の使い方がヘタで、必要以上に時間に追われることがある自分には、羨ましい限りです。

また、戦人としては、信長に大名としてのただならぬ政治力と人間的魅力を感じ、思わず彼に肩入れしたり、近隣の同じく鉄砲集団を擁する雑賀衆と敵対することになると、傭兵らしく自分たちのルールに徹したり、この時代にしてはめずらしく、生きることの大切さを知っており、引き際も鮮やかです。こういった部分は、天下取りの野望とはまた異なる彼の信念を感じました。

終盤では、おきたへの深い愛情や人間臭い部分も感じてしまいました。

著者が和歌山県出身という事で、監物たち根来衆の台詞は徹底的にきつーい和歌山訛りです。読みづらさを感じる人もいるでしょうが、私は、友人が同じくきつーい和歌山訛りなので親近感がわき、思わずあったかい気持ちになってしまいました。



この作品の前作。
津田監物が種子島に趣き、火縄銃を根来に持ち帰り、鉄砲集団を作り上げる物語。
鉄砲無頼伝 (角川文庫)
鉄砲無頼伝 (角川文庫)津本 陽

角川書店 2000-02
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根来衆以上に傭兵らしい鉄砲集団、雑賀衆。

この作品の時期は本願寺についていて、敵対する信長に攻められ一度は降伏しますが、この戦が終結すると顕如を迎え入れるなどし、さらに織田派と反織田派で内部分裂を起こします。ところが本能寺の変で信長が没後は、反織田派が主導権を握り、小牧・長久手の戦いでは根来衆と手を組んで秀吉に抵抗して戦います。その結果、秀吉が紀州征伐を行い雑賀衆はほぼ壊滅します(その一方で、逃げ延びた根来衆は関ヶ原では家康に仕えた成瀬正成の配下で活躍)。

その雑賀衆の頭領「雑賀孫一」を扱った作品↓

尻啖え孫市」司馬遼太郎

戦国鉄砲・傭兵隊―天下人に逆らった紀州雑賀衆

雑賀孫市―信長と戦った鉄砲大将
雑賀孫市―信長と戦った鉄砲大将二宮 隆雄

PHP研究所 1997-05
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妻恋坂

妻恋坂 (文春文庫 き 16-5)
妻恋坂 (文春文庫 き 16-5)北原 亞以子

文藝春秋 2007-11
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幸せになれない事が分かっていても、止められない、後戻りできない恋の道。それを不器用に歩む女たちの物語。バカな女かもしれないけど、傷ついても生きていかなきゃならないからね。(Kerog*)



内容
お町が番附売りの周二と出会ったのは霞ヶ関の坂道だった。男振りのいい周二から過去の話を打ち明けられたお町はいつしか恋心を抱いていた。だが周二の話にはたった一つ、ついてはならない嘘があったーーーー 表題作のほか、江戸の喧騒の中を懸命に生きる七人の女たちの営みなどを艶やかな筆で描く著者会心の短編集(文庫表紙裏より)



北原さんの描く女性は、若くても年増でも、どこか恋に純情なところがあります。そして男性は、騙すつもりが無くても心変わりしたり、女にいやな扱いをしたり、身勝手に振る舞ったり、でもかわいいところがあるからから困るんです。こちらも正直者だから。

北原さんは、そんな男に惚れてしまった女性が、幸せになったり傷ついて泣いたりする物語を描くのがとても上手い。この作品に限らず、どちらかというと女性の心情を色鮮やかに表現することが多いのですが、たとえ幸せになれなくても、一見するとバカな女でも、「いつか幸せになって欲しいな」と思わせるようなところがあります。

特に今作では、「妻恋坂」のお町や「金魚」のおなみが非常に都合のいい女で、同性から見ても「バカだなぁ」とは思うのですが、最後にはそういう彼女たちの生き方を受け入れてしまうので不思議です。

また、珍しく男性視点で描かれた「返り討ち」ですが、これはいつもの立場が男女逆。しかし、お人好しの阿弥六の人柄と顛末は、北原節が効いています。

そして今作は、男女ではなく、女同士の腐れ縁もあります。「道連れ」は、同じように客を取る女に、同情にもにた気持ちを抱きつつ、彼女のめんどうまで見てしまう、こちらも阿弥六同様、お人好しなおしんの話です。

図らずも、一時の止まり木のような女になってしまった「薄明かり」のおつやは、今回私が激しく幸せになって欲しい!と思った女性です。肩入れしてしまった理由はよくわからないのですが、懸命に店を切り盛りするうちに、密かに思っていた松吉が他と所帯を持ってしまったおつやが不憫でならず、それに加えて、おつやのつんつるてんの浴衣を着て、目を擦りながら口元をゆるませる甚三郎のかわいらしさにやられてしまったからでしょうか…。

北原さんの短編作品を読むのは久しぶりでしたが、どこか物憂い艶があって、ふだんがちゃがちゃと賑やかに過ごしている時間も落ち着かせてくれました。



妻恋坂
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お町が番附売りの周二と出会ったのは霞ヶ関の坂道だった。男振りのいい周二から過去の話を打ち明けられたお町はいつしか恋心を抱いていた。だが周二の話にはたった一つ、ついてはならない嘘があった(表紙裏より)

仇討心中
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歳の離れた夫・宗庵を棄てて、若い文次郎と駆け落ちした登茂。女敵討ちを果たすため、二人を追ってきた宗庵。このまま逃げ続けたくないという文次郎。返り討ちすれば、今度は宗庵の仇として子供に追われる事になるため、それだけは避けたい登茂。二人が選んだ道は…

商売大繁盛
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五兵衛に囲われ、彼の料理屋「きむら」を繁盛させたおつやは、雇ってくれと店を訪ねてきた八十吉といい仲になる。ところが、二人のことが五兵衛にばれて、八十吉は逃げ、殴られたおつやは「きむら」に帰らず、助けてくれたおこうの店「夕月」を切り盛りする。ある日、おつやは「きむら」から出てくる八十吉をみかける。なんと彼は、「きむら」の若旦那におさまっていた。

道連れ
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自宅で身体を売るおしんは、自分の客を横取りしようとしたおすえの身の上話につきあってから、同情ににた気持ちと、寂しさを紛らわしてくれる彼女の存在に気を許し、頻繁に泊まりにくるおすえを拒めない。ところが、おすえがおしんの男にちょっかいを出した。

金魚
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近江屋正右衛門に囲われているおなみ。その生活には不満はないが、離縁すると思っていた正右衛門は未だにその気配をみせない。その上、外で作った子供を育ててくれと連れて来た。仕方なく娘のおまきを引き取ったおなみだが、訪ねてくる正右衛門は、おまきに夢中だ。

返討
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貧乏に苦労した阿弥六は、金を仇と思って溜め込んでいる。近所のおさとを密かに思っているが、そのおさとは、道楽者の亭主持ちの従姉妹おひさにしきりに金を無心されて困っている。しかも身寄りのない寂しさから、おひさの言うがままだ。それを見かねた阿弥六は…

忍ぶ恋
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海産物問屋の主人だった夫を早くなくし、今では子供が立派に後を継いでくれたおはまは、嫁入り前も何不自由無く育ち、嫁入り後もたいした苦労は無かった。根岸の寮で気ままに暮らしている。夫の従兄弟に当たる和兵衛とは、夫の死後に店の後見人のことで泣き言を聞いてもらってからの仲だったが、今はその和兵衛との関係も煩わしく、どこかつまらないおはまだが、和兵衛を拒むほどの理由もなかった。

薄明り
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一緒になると思い込んでいた板前の松吉が、手伝いのおたみと所帯を持った。それほどがっかりもしなかったけど、何となく張り合いがなくなった料理屋を営むおつや。ある夜、飯を食わしてくれとやって来た貸本屋の甚三郎と、思いがけぬ仲になりしばらくして一緒になる事になった。甚三郎も親の遺恨を晴らすために続けていた貸本屋を辞めて、料理屋を手伝い始める。そこへ、かつて甚三郎の許嫁がやってくる。

五年が経ちました

 五年が経ちました。

 春から忙しかった仕事が落ち着いて、事務所移転で復帰したかった仕事も片手間ですが始められそうで、プライベートでも楽しいイベントがいろいろで、すっかり浮かれた気分です。

 去年、FC2さんに引っ越してきて、その際に一から出直したようになっていますが、ぼつぼつ書き直した感想もアップできたから記事も増え、またFC2さんの使いやすさに楽しみが増えました。

 今年はどんどん過去に読んだ作品の感想を! と、意気込んでいます。引っ越し前の記事の再アップをさくさくとやっていきたいところなんですが、読み直すと書き直したくなって、それでじかんばっかりとっています。あとは日記をいろいろと書いてみようかなとも思ってます。

 来年も、楽しい読書ができて、もうちょっと記事が増やせて、ここも続いていたらいいなぁ。

尻啖え孫市

新装版 尻啖え孫市(上) (講談社文庫)
新装版 尻啖え孫市(上) (講談社文庫)司馬 遼太郎


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starあけっぴろげであるがままの主人公の魅力が満載!
star戦国の快男児

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新装版 尻啖え孫市(下) (講談社文庫)
新装版 尻啖え孫市(下) (講談社文庫)司馬 遼太郎


おすすめ平均 star
star見事な武者っぷり

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内容
鉄砲は名人、女好きは日本一。スケールの大きい戦国武士のうちでも、とりわけ異彩を放つ雑賀孫市。藤吉郎との奇妙な友情のうちに、紀州雑賀衆の頭目として鉄砲の腕にもの言わせ、無敵の信長にみごと“尻啖(しりくら)わせた”痛快さ!戦国の世を縦横に生きた奇男児の豪快な一生を描く、著者会心の長編。(出版社/著者からの内容紹介)





尻啖え孫市
尻啖え孫市中村錦之助 栗原小巻 本郷功次郎

角川ヘラルド映画 2007-02-23
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勝海舟捕物帖

勝海舟捕物帖
勝海舟捕物帖坂口 安吾

学陽書房 2006-09
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勝海舟は活躍しません! 推理も鋭くありません! 勝先生はすっかり当て馬という設定がおもしろい! 捕物帖としてよりも、雰囲気を楽しむ作品です。推理を外してくやしがる、心地いい勝先生の強がりを、虎之介と一緒に謹聴賜りたいと思います。(Kerog*)



内容
時は明治初頭。勝海舟は持ち込まれた様々な難事件に、“明治の大頭脳”らしい“安楽椅子探偵”ぶりを発揮して鋭い推理を披露するのだが、さてその首尾は如何に…。戦後文学の旗手・坂口安吾の連作ミステリー。 (「BOOK」データベースより)





この作品の原題は「明治開化 安吾捕物帖」で、それを改題したのがこの作品。しかし、内容はまるで「結城新十郎捕物帖」です。

勝先生は虎之介から事件の概要を聞き、安楽椅子探偵さながらに推理を展開するのですが、最後は新十郎にもっていかれる。このパターンが繰り返されます。しかもその辺りを、作品冒頭に置かれた、著者からの「読者への口上」であらかじめ明示してあります。
 
そんなネタバレ全開で、ちゃんと楽しめるのかと不安になりますが、大丈夫。事件のトリックまでは明かされていませんから、少ないヒントから、勝先生と一緒に安楽椅子探偵になりきりましょう。

結局のところどうなのかというと、捕物帖としての核の部分、事件そのものや謎解きの行程が、非常にあっさりとしすぎていて、ちょっと読み流してしまう部分もあるのですが、濃いキャラクターと粋な語り口がそれを補っているので、楽しめる事は楽しめます。
 
また個人的には、自分のイメージにぴったりな勝先生が、ベランメエ調で語ってくれるのが楽しみでもありました。「氷川清話」「勝海舟語録」「海舟座談」を読んだあのまんまのイメージです。
 
そして、舞踏会や新興宗教といった事件の舞台から、洋行帰りという設定の結城新十郎、勝海舟・山岡鉄舟に剣術を学び流行らない道場を開いている虎之介、鳥羽伏見から上野まで鉄砲隊小隊長として旧幕府と戦っていた薩摩出身の戯作者花廻屋因果という登場人物の濃ゆい来歴などが、時代背景にきっちりと色をつけています。

 最後に、解説は縄田一男さん。村上元三の「加田三七捕物そば屋」とこの作品を並べて書かいています。それを読んで、同じ明治物の「加田三七捕物そば屋」もぜひ読んでみたいと思いました。
 

精霊の守り人

精霊の守り人 (新潮文庫 う 18-2)
精霊の守り人 (新潮文庫 う 18-2)上橋 菜穂子


おすすめ平均 star
star説得力ある世界観。
star日本の代表ファンタジー
star人事とは思えなくなっている。
star新たな発見
star物語の力と深み。素晴らしいなあ

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ファンタジー読まず嫌いさんにもおススメできる。読みやすいのに読み応えあり!大冒険に大活躍ではなくとも、しっかりと地に足がついた人物設定、舞台設定、そして物語の展開は、ぜひシリーズ前作をよみたいと思う。(Kerog*)



内容
30歳の女用心棒バルサを主人公に、人の世界と精霊の世界を描いたハイファンタジー。野間児童文芸賞新人賞・産経児童出版文化賞・ニッポン放送賞・路傍の石文学賞を受賞した作品で、『闇の守り人』『夢の守り人』『神の守り人(来訪編)』『神の守り人(帰還編)』と続く「守り人」シリーズの第1弾。
100年に一度卵を産む精霊〈水の守り手ニュンガ・ロ・イム〉に卵を産みつけられ、〈精霊の守り人〉としての運命を背負わされた新ヨゴ皇国の第二王子チャグム。母妃からチャグムを託された女用心棒バルサは、チャグムに憑いたモノを疎ましく思う父王と、チャグムの身体の中にある卵を食らおうと狙う幻獣ラルンガ、ふたつの死の手から彼を守って逃げることになるのだが・・・

水の守り手とは何なのか? 夏至祭りに隠された秘密とは? 多くの謎を秘めて、物語は人間の住む世界「サグ」と精霊の住む「ナユグ」の問題へと発展していく。精霊世界の存在や先住民族ヤクーの民間伝承など、古代アジアを思わせる世界の記述の細かさ、確かさは、文化人類学者である作者ならでは。

バルサを筆頭に、みずからの運命を呪いながらも逞しく成長していくチャグム、おてんばバアサンの呪術師トロガイ、バルサの幼馴染みのタンダなど、登場人物のキャラクター設定には魅力があふれている。オトナの純愛物語、少年の成長物語としても深い味わいを残す本書は、子どもたちだけのものにしておくには惜しい1冊。(小山由絵 Amazon.co.jp)







親不孝長屋

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親不孝長屋―人情時代小説傑作選 (新潮文庫 い 16-96)
親不孝長屋―人情時代小説傑作選 (新潮文庫 い 16-96)池波 正太郎 縄田 一男

新潮社 2007-06
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ハズレなしの短編5編に加え、選者である縄田一男さんの解説にもstar yellowstar yellowstar yellowstar yellowstar yellowをつけたい。5名の作家それぞれの美技と静かに広がる余韻に酔える作品集です。(Kerog*)



内容
岡場所上がりの継母と継子のすれ違い(「おっ母、すまねえ」)。妹弟から冷たい仕打ちを受ける行き遅れの長女の行く末(「邪魔っけ」)。料理屋に奉公した十七の娘とワケありの老父とに降りかかる難儀(「左の腕」)。元芸妓の女房を持つ棒手振り魚屋の定次郎は、実は大店の次男坊(「釣忍」)。病弱な八つの娘のいる畳職人は高額の薬代を稼ぐために…(「神無月」)。感涙必至、傑作人情時代小説五編を厳選。




最初に手に取った時、いくら好きな作家ばかりとはいえ、一冊の本にまとめられたら「これは、腹にもたれるかなぁ」と躊躇しました。

ところが、読んでみるとそれぞれがぶつかり合うこともなく、ちゃんと個性が生きている。このことは、選者である縄田一男さんのセンスに由るところではないでしょうか。

縄田一男さんは、著書こそ多くはありませんが、多くのアンソロジーの選者・編者であり、ガイドの類では、「時代小説の読みどころ」など、今なお加筆修正して出版されるほど読み継がれる作品をお持ちです。
私も縄田さん選出の作品は相性が良いと感じるし、縄田さん選出のアンソロジーなどで作家の新しい魅力や、読み逃していた作品に出会うことが多いのです。

人間の浅ましさを隠す事無く描きながら、決して汚くならない池波正太郎。むくわれなくても腐らずに、自分なりの幸せをみつける女性を描いた平岩弓枝。過去を隠して生きるより、自分に正直である事を選ぶ男を描いた松本清張。不器用ながら優しい男が見つけた、小さくてもかけがえのない幸せを描いた山本周五郎。罪の裏側を、巧みな視点移動でドラマティックに描いた宮部みゆき。

どの作品も、家族愛や親子愛といった言葉から安直には想像し得ないストーリーですが、ちゃんと血の通った人間が描かれており、展開ばかりが目立つ事無く、人物達の心の機微や漂う空気までが伝わってきます。さすがという以外に言葉が見つかりません。



各話紹介

おっ母、すまねえ(池波正太郎)

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借金のかたに宿場で身を売る飯盛り女として勤めていたおぬいは、大工の直五郎に見初められて、足を洗う。息子・市太郎はおぬいの本当の子でなく、直五郎の連れ子だ。直五郎を亡くしたおぬいは、村田屋を営む卯吉という男に嫁いでいるという複雑な家庭事情。周りにも実の息子と偽って、目に入れても痛くないくらいかわいがった市太郎だが、おぬいの再婚後は、金の無心、暴力と、荒れに荒れた放蕩息子になってしまう。手がつけられない息子に困り果て、ついにはその暗殺を依頼してしまうおぬい。暗殺計画が進む中、またもや無心にやってきた市太郎を迎える卯吉、そこへおぬいが飛び込んできて…

邪魔っけ(平岩弓枝)
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貧乏で幼い妹弟や年老いた父親のため働きづめのおこう。町の評判こそいいが、そのしっかり者であることを何かと妹や弟にやっかまれ、「行き遅れの年増」などと冷たくあしらわれる。そこへ以前の奉公先である大店の若旦那が現れる。実はその大店を親戚に追い出され、今は奉公に出ている長太郎。世間に対して斜に構える長太郎におこうは…


左の腕(松本清張)
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飴細工をしていた卯助と子守りなどをして駄賃を稼いでいたおあきの親娘。松葉屋の板前をしている長次の口利きで、二人は松葉屋に奉公する事になった。おあきは住み込みだが卯助は相変わらずの裏店暮らし。仲睦まじく真面目な二人は、すぐに松葉屋で可愛がられる。ある日、卯助の左腕に布が巻かれている事を誰ともなく気付き訪ねると、酷い火傷の跡だと言う。卯助は仲間と一緒に風呂へ行かないから誰もその火傷の跡を見た事がない。そこへ癖の悪い目明かしの麻吉が目を付ける。

釣忍(山本周五郎)
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芸妓のおはんと所帯を持った魚売りをしている定次郎は、裏店で幸せに暮らしている。そこへ定次郎の兄という佐太郎が訪ねて来て、定次郎は呉服の大店、越前屋の次男だという。暖簾分けして新たに店を持ちたい兄と、後家の母親を気遣って、わざと道楽をして勘当されたというのだ。その定次郎に戻って来て店を継いでほしいと頼む佐太郎。拒む定次郎に、おはんは店に戻れという。


神無月(宮部みゆき)
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毎年、神無月にだけ起こる押し込み強盗がいる。手荒な事は一切せず、十両や八両と言った小銭だけ盗って、すぐに帰る。どうみても素人の仕業だった。居酒屋に立ち寄った岡っ引きは、店の亭主と思わずその押し込みの話になる。どうして神無月なのか、そして何のための小額の金なのか。同じ頃、長屋の片隅で、八歳の娘のためにお手玉を繕っている男がいた。

輪違屋糸里

輪違屋糸里 上
輪違屋糸里 上浅田 次郎


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starぜひ、読んでください!
star壬生浪士を、太夫あがりの旦那にするわけにはいかぬ。
star女性の視点からの新撰組が魅力的
star立派なお侍
starパターンとはいえ泣かされた

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輪違屋糸里 下
輪違屋糸里 下浅田 次郎


おすすめ平均 star
starなあ、おいと。勇さんも、俺も、ほかのやつらも、侍になりてえんだよ。
star菱屋お梅
star時代小説は相変わらずうまい
starやはり、うまい!

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マイナー人物にスポットを当て、史実の隙間を埋めた浅田氏のフィクション新選組。
糸里の恋や芹沢暗殺を翳らせるほどに惹き付けられた、吉栄と五郎はんの悲恋。女の強さがはっきりと現れる八木さん家のお内儀には、泣かされた!そしてこんな新八と斎藤を待っていた!しかし、浅田新選組最強は、ブラック沖田!!(Kerog*)




内容
島原の芸妓・糸里は土方歳三に密かに思いを寄せていた。 二人の仲を裂こうとする芹沢鴨には、近藤派の粛清の白刃が迫りつつあった……(出版社/著者からの内容紹介)
運命の糸に操られた男と女、京の闇に死の衣をまとう者たちがさまよう。浅田版新選組。(「BOOK」データベースより)






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